質問&回答 (Q&A)

質問&回答 (Q&A)  タイでの就職・生活環境など、よくいただくご質問への回答集です。

ビジネスビザ・労働許可証

日本人がタイで働く方法は?

雇用主に必要書類を作成してもらい、自らで準備する書類を備えた上でビジネスビザを取得します。また、雇用主に、法律上労働に必要な労働許可証を取得してもらいます。昨今,外国人の労働に対する規制は厳しくなる一方ですので、就職される際にはよく確認すべきです。ビザに関しては、主体的に手続きを確認しましょう。費用負担については、雇用主に事前に確認することをお勧めします。

ビジネスビザの取得方法は?

日本での取得は、在日タイ大使館のサイトを参照ください。
タイ近隣諸国での取得:マレーシア(ペナン)、ラオス(ビエンチャン)、シンガポール等での取得が考えられます。従来、これらの国では比較的取得が容易でしたが、要求される書類が追加、厳しくなる方向にあります。取得に当たっては、事前に最新の状況確認がベターです。また、業者手配によるビザ取りツアーを利用するのもひとつの手段と考えます。
その他、当該被雇用者が、他種類のビザ(観光ビザなど)でいったんタイに入国した後、労働許可証の申請後、移民局でBビザに切り替える手段もございます。


求職活動について

どのように仕事を探せばよいですか?

企業への就職を希望する場合は、弊社のような人材斡旋会社に登録し、紹介を受ける。また、当地で発行されているフリー誌の求人欄などでも探すことができます。友人知人から紹介を受けるケースもあるでしょう。

人材斡旋会社に登録したのですが紹介してくれません

経験・スキルが不足している、諸条件が合わない等の理由で、ご紹介できるポジションが無いケースもあります。また、やる気、が大切なことは当地においても同じです。目的意識が薄い、真剣に仕事を探していないと感じる登録者の方へのご紹介は困難なこともございます。信頼のおける人材会社へ登録することも大切と思います。

登録後どのくらいで紹介が受けられますか?

早ければ2、3日で紹介し面接、遅い場合は数ヶ月後というケースもあります。タイミングといった要素もありますので、ある程度の期間を就職活動に充てることをお勧めします。

どのような求人が多いですか?

日系企業からの依頼が多く、工場関係(生産管理、品質管理、工程管理、通訳、営業等)からバンコク市内の企業(貿易実務、秘書、営業、総務等)まで幅広くあります。

人材紹介会社を使うメリットは

大きく3つございます。
1つ目はたくさんの求人案件から求職者様に合った求人を選んでご推薦させて頂けることです。
2つ目はご紹介する求人の募集背景や職責・業務内容、求人企業様の文化を把握しておりますので、事前に情報提供させて頂いた上で応募頂くことになりますので、採用後のミスマッチの可能性が低くなります。
3つ目は入社後も引き続き入社された企業様と求職者様の間に入ってフォローアップさせて頂きます。万が一労働条件や労働許可証の付与等に関し、入社時に約束した内容が不履行になったような場合、弊社を通して求人企業様に履行を求めることが出来ます。そもそも契約を履行しないような企業とはお取引しておりませんので、その点、人材紹介会社を通さず自身で仕事を探されるより信頼性の高い企業・求人と出会えることとなります。又、ご紹介させて頂いた企業様で勤務開始後、職場環境の問題等で求職者様のパフォーマンスが発揮出来ない状況にあるような場合、求人担当者様に職場環境の改善等を相談し、求職者様のパフォーマンスが発揮出来やすい状況を作為するといったことも可能であることです。

仕事の経験の無い新卒ですが、どうしてもタイで働きたいのですが

勤務経験の無い方でも就労可能です。しかし、業種又は職種によっては過去に関連した業務経験が無いと労働許可証が下りないケースもございます。応募前に労働許可証が下りるか確認する処置が必要となります。


給与・待遇について

駐在員待遇で採用してくれる求人はありますか?

無くはないのですが、少数ですので、日本にて探されたほうがよいでしょう。一方、現地採用後に実績を積まれた方が本社採用に切り替わるケースは多数ございます。

現地採用の採用条件は?

給与の目安として、経験者・技能者(上級)で10万バーツ以上、中級6~8万、経験の浅い方は5万バーツ~です。ボーナスは会社の業績等により幅がありますが、年3ヶ月くらいが多いです。

給与以外の福利厚生は?

タイ政府が定めている社会保険や退職積立金位です。また、企業によっては団体医療保険の付与や一定の医療費補助などをしているところもございます。

家賃補助は出してくれますか?

会社により異なりますが、ほとんどの企業は給料に家賃が含まれております。

ちなみにタイ人の新卒の給与水準は?

一般的な大学卒の文系で1.5万バーツ位、技術系で1.8万バーツ位です。有名大学や語学能力の高い人材は、これより高い傾向にあります。


語学力について

語学力は、タイ語・英語のどちらが求められますか?

両方とも出来るのがベストではありますが、工場からの依頼はタイ語を求められるケースが多く、市内なら英語を求めるケースが多いです。但し、両方とも出来なくても入社後に覚えればよいという企業もあります。

タイ語能力はどれ位のレベルを求められますか?

ポー6(小学生6年生の検定試験)レベルを求められておりますが、タイ人スタッフとコミュニケーションが取れる会話能力があれば十分というケースが多いです。

英語能力はどれ位のレベルを求められますか?

英検2級以上、TOEIC600点レベルが目安となりますが、タイ人スタッフと英語で業務がこなせれば充分というケースも多いです。ただし、タイ語とは異なり、Eメールでやり取りできる程度の英語は必要なことも多いです。

タイ人の英語能力は日本人と比してどれくらいですか?

国際社会から見て日本のレベルより高いと言ってよいでしょう。但し、大学への進学率等を比較すると日本の方が高等教育を受けている人数が圧倒的に多く、単純には比較できません。


生活・医療など

生活費は1ヶ月どのくらいかかりますか?

基本的な衣食住にかかるコストは、日本の3分の1程度といえますが、日本人として生活レベルを維持するためには、最低3万バーツくらいは必要になります。

アパートの相場は?

安全面を考えますと、バンコクでは8000バーツ~(ワンルーム)になります。普通、基本的な家具は付いています。アパートによって、設備(家具・衛星放送など)や電気・水道代など開きがあるため、トータルコストをよく確認されるとよいでしょう。 敷金・礼金という慣習はありませんが、通常家賃2ヶ月分のデポジットが必要です。これは退去時に全額返金されるケースが多いです。

アパートの探し方を教えて下さい

アパートは数多くありますので、まず問題ありません。高額の物件は、不動産会社で紹介を受けられますが、比較的安いアパートは自分で探すことになります。タイでの居住に関する書籍、ウェブサイトなど参考にしてください。

日本製品・日常品などは手に入りますか?

特別な品以外はほとんど手に入ります。日系のデパート・スーパーも数軒在ります。

病気・ケガの治療は?

有名私立病院の施設は先進国並みで、バンコク・チェンマイ等日本人居住者が多い地区には日本語が話せる医師、看護婦、通訳が複数おります。日本と異なり、医療施設によって料金に相当幅があります。

健康保険・入院保険等について教えて下さい

企業に入社後、会社での社会保険の加入が義務付けられておりますが、保障内容が十分ではないので、民間医療保険加入の福利厚生がついている企業が多くございます。

社会保険の適用範囲は?

指定の病院であれば無料となりますが、国の指定病院ですので日本語の話せる医者や看護婦は、まずおりません。


タイ労働法に関わる事項

給与が減額されることはありますか?

無断欠勤や就業規則への著しい違反などを理由として、それを懲戒する目的で労働者の給与を当該給与計算期間において減額するという行為が少なからず行われていると散見します。

この給与減額という行為について、法的に順法であるか違法であるかを考査し てみます。

まず、労働者保護法では次のように条文化されています。

■労働者保護法第76条

(1)使用者は次に掲げる場合を除いて、賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当または休日時間外勤務手当から控除してはならない。
1.労働者が支払うべき所得税の支払いまたは法に定められている徴集金
2.労働組合の規約に基づく労働組合費の納付金
3.貯蓄協同組合その他同様の性質を有する協同組合への納付金、または労働者
だけに利益がある福利厚生のための納付金。ただし事前に労働者の承諾を得なければならない。
4.第10条に定める保証金、または労働者の故意または重大な過失により生じた使用者に対する損害賠償金。ただし、労働者の承諾を得なければならない。
5.合意に基づく積立基金への納付金
(2)略

同条4項において、「労働者の故意または重大な過失により生じた使用者に対する損害賠償金。ただし、労働者の承諾を得なければならない。」と述べられていることに注視します。

どの程度の「事の重大さ」であれば給与の減額が法的に有効になるのか、その状況に拠る要素が大きいことから一意に定義付けることはできませんが、弊社が労働省雇用局に照会した範疇では、以下の示す内容を遵守すべきであるという回答を得ました。

1.無断欠勤、就業規則への著しい違反などを理由に給与を減額する際、法で定めている通り労働者の同意が必要になる。

2.その同意書において、「会社は、○○の理由により貴殿の給与を△△バーツ減額する。ついては、同主旨に同意した証拠として、労働者は以下に署名をした。」というように【会社を主体とした文書】であってはならない。状況次第では、いかに同意書の体を為していようとも、当該同意書は無効であると見做される。

3.この場合、【労働者主体の文書】として「私は、○○の理由により当該期間の賃金△△バーツを受領する権利を放棄します。その証拠として、以下に署名します。」という形にすべきである。

4.2と3を比較した場合、「給与を減額する」という結果行為は同一であるが、その結果行為に至った根拠が異なる。すなわち、「会社主体の文書」であるか「労働者主体の文書」であるかにより、調停や裁判時における審理内容や判決が異なると理解しなければならない。

上記を総括しますと、

「以下に同意書があろうとも、会社が主体となって労働者の給与を減額することはできない。あくまでも労働者による給与受領権の放棄行為でなければならない。」

と解釈できます。

頻繁に遅刻する労働者に対し、罰金という形で給与から天引きすることは法律上問題となりますか。

労働者による度重なる遅刻があり、当該労働者に対して何度も口頭で注意したり、警告書にて警告を行なっているにもかかわらず、ごく短期間においてだけは改善の様子が見られるが、すぐに元の状態に戻ってしまい遅刻を繰り返す、という主旨をいくつかの会社からお聞きしたことがあります。

それを理由として、遅刻時間数に相当する賃金を半ば強制的に当月の給与から天引きしている、天引きに際しては当該労働者からの文書にての合意を得ているという話もお聞きしました。

本人の文書による同意の元、遅刻時間数に相当する賃金を給与から控除することは遵法なのでしょうか、違法なのでしょうか。

結論としては「違法」です。

たとえ労使間合意が存在していても違法となります。そして、その労使間合意は法的に無効であると解釈されます。

これは労働者保護法第76条の解釈に因ります。同条第4項では「控除できる金銭の例外規定」として、「労働者の故意または重大な過失により生じた使用者に対する損害賠償金」という定義がありますが、弊社が労働省雇用局から聞き取った範疇では、「遅刻の程度にも拠るが、他の労働者の士気に影響していない程度」であれば重大な過失には値しない、という説明骨子でした。

スタッフを解雇することになりました。解雇金の支払いについて法律の規定はありますか。

タイの労働者保護法第118条では、使用者が使用者側の都合によって従業員を解雇する際の解雇金の額を以下のように定めています。この解雇金は免税扱いであり、個人所得税の課税対象になりません。

(1)120日以上1年未満の労働者に対しては最終賃金の30日分以上
(2)1年以上3年未満の労働者に対しては最終賃金の90日分以上
(3)3年以上6年未満の労働者に対しては最終賃金の180日分以上
(4)6年以上10年未満の労働者に対しては最終賃金の240日分以上
(5)10年以上の労働者に対しては最終賃金の300日分以上

しかし、雇用期間の開始時期と終了時期が明確に定められている雇用形態である場合には適用されません。

スタッフを解雇するにあたり特に注意を要する点はありますか?

使用者(会社)が労働者を解雇する場合、労働者保護法119条の各項に抵触する場合であろうとなかろうと、その理由を明確にし、その明確化された理由を解雇通知書に明記する必要があります。

以下に詳細を示します。なお、以下の説明では特に明記がない限り「第XX条」とは、労働者保護法の条文番号を示しています。

◆第119条に抵触しない場合(リストラなど)

この場合、第118条で定める解雇手当と、第17条で定める事前告知の両方が必要です。

洪水などの自然災害に起因する会社財政状態の悪化を原因とするリストラであっても、

(1)役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換など、リストラを回避するための経営努力を行った。
(2)しかし、上記の(1)を実施したにも関わらず、リストラを実施せざるを得なくなった。
(3)解雇対象となる労働者の人選基準が公平であることを、労働者に説明できている。

ことを、労働者に納得してもらえるように文書にして告知する必要があります。これを怠ると、後になって労働者が不当解雇と認識し、労働裁判所に告訴される危険があります。

必要に応じて、上記(1)(2)に関する事項を討議した取締役会の議事録などを添付した方がよい場合があります。後刻に労働裁判所に告訴された場合であっても、それら書類を使用者が労働者に対して発行済みであることを、被告弁論として労働裁判所の審理官に説明できるからです。

◆第119条に抵触する場合

この場合、第17条で定めるとおり、使用者は一切の金銭の支払義務はありません。ただし、解雇通知書には、第119条のどの部分に抵触するかを明示する必要があるほか、違反した事実に日時、内容、被害額などを、労働裁判になった場合を想定して、労働裁判の審理官にわかるように具体的に記載しなければなりません。

その記載のしかた次第では、労働裁判になった場合に、会社が敗訴する可能性があります。

■重要■

第119条③に則り、いったん発行した解雇通知書に対し、解雇理由を後になって付け加える、または解雇理由を変更するということはできません。法廷にて、後付けで理由を主張しても一切認められません。

解雇通知書に記載されている解雇理由以外の理由は無効です。

「(労働者保護法119条)
①解雇が次のいずれかの理由による場合、労働者に対して解雇補償金を支払う必要はない。
(1)職務上の不正を行い、または使用者に対し故意に刑事犯罪を犯した。
(2)使用者に対し故意に損害を与えた。
(3)過失により使用者に重大な損害を与えた。
(4)就業規則、規律または使用者の法にかなった、正当な命令に違反し、使用者が文書で警告を行った。ただし、重大な違反の場合には警告を要しない。警告書は労働者が違反行為を行った日から1年間有効である。
(5)合理的な理由なく、間に休日があるかないかにかかわらず3日間連続して職務を放棄した。
(6)最終判決により懲役刑を受けた。
②上記(6)については、過失または軽犯罪であれば、使用者に損害を与えた場合でなければならない。
③第1項による解雇補償金を支払わない解雇について、使用者が解雇通告書に解雇の理由となる事実を記載していない場合、または解雇の理由を記載していない場合、使用者はあとになって理由を申立てることはできない。」

雇用契約解除の申し出の時期について法律の規定はありますか?

労働基準法第17条第2項では、雇用契約解除の申し出の時期に関して、以下のように規定しています。

◆労働基準法第17条第2項

「雇用契約に期間の定めのない場合には、時期賃金支払時期に雇用契約終了の効力を生じさせるべく、1賃金支払期間前、またはそれ以前に他方当事者に対して文書で予告することにより、使用者または労働者は雇用契約を終了させることができる。ただし、3か月以上前に予告する必要はない。」

一般に、雇用契約解除の申し出の時期に関しては、「30日前ノーティス」という言葉を以って理解されています。つまり、「30日前」に他方に告知すればよいという解釈ですが、この解釈は法の解釈としては正しくありません。

ここで、法に使われている言葉としての

「次期賃金支払時期に雇用契約終了の効力を生じさせるべく、1賃金支払期間前」

とは、

【退職願に記載されている提出日(X)と、退職希望日(Y)との間に、完全なる形での1賃金計算期間と支払日までのリードタイムが含まれていなければならない】

ことを意味しています。

例えば、賃金計算期間が<XX月16日>から翌月の<YY月15日>までであり、賃金の支払が<YY月25日>に行われている会社の場合、<XX月1日>退職届を提出したと仮定すると退職可能となる日付は<YY月25日>以降となります。YY月1日 またはXX月末日ではありません。

逆に、<YY月25日>に退職したい場合には、<XX月15日>以前に退職届を提出する必要があります。

退職する際、残存の有給休暇は会社に買い取ってもらえますか?

2008年の労働者保護法改正により、その第67条において明確に定められています。

(労働者保護法第67条)

(1)労働者に第119条に規定する違反行為がないにもかかわらず、使用者が解雇する場合、使用者は労働者に対し、第30条の定めにより労働者が権利として有すべき年次休暇の割合に応じて「解雇の年の年次休暇」に対する賃金を支払わなければならない。

(2)労働者が契約終了を通告する側であるか使用者が終了を通告する側である場合、第119条に基づく解雇であるか否かに関係なく、使用者は第30条により労働者に受取る権利を有する「繰越年次休暇」について賃金を支払わなければならない。

まず、有給休暇に関する算式、ならびに言葉の定義を示すと以下の通りとなります。

(算式)

残存有給休暇=前年度からの繰越日数+当年付与日数-当年行使日数

(定義)

(A)「前年度からの繰越日数」とは、有給計算の対象期間である前年度より、当年度に持ち越した(繰り越した)日数を指す。上述第67条での「繰越年次休暇」に相当する。
(B)「当年付与日数」とは、有給計算の対象期間である今年度において新規に付与された日数を指す。
(C)「当年行使日数」とは、有給計算の対象期間である今年度において使用した日数を指す。

上記の算式と定義を踏まえた上で労働者保護法67条を解釈しますと、以下のようにまとめることができます。

■(あ)第119条に抵触しない、一般の解雇
「当年付与日数-当年行使日数」で求めた「当年純残存日数」と、「前年度からの繰越日数」の両方に関し、使用者は賃金を支払わなければならない。

■(い)第119条に抵触する、強制的な解雇
「前年度からの繰越日数」に関し、使用者は賃金を支払わなければならない。

言い換えれば、第119条に抵触する強制的な解雇であっても、当該労働者に対しては繰越年次休暇に係る賃金を支払わなければならないということです。以下に具体例を示します。

(例)

前年度からの繰越日数=5
当年付与日数=6
当年行使日数=2
残存有給休暇=9 (=5+6-2)

の場合、(あ)の場合は9日分の賃金を、(い)の場合は3日分の賃金を各々支払わなければなりません。(有給の使用に関しては、一般的には「古い物(前年度からの繰越分)から先に使用する、俗に言う「先入れ先出し」が行われているので、(い)の場合は、5-2=3となります。)

採用したスタッフに対する仮採用期間(試用期間119日)の延長を検討しておりますが、留意すべき点はありますか?

一般には、新入社員の仮採用期間(試用期間)に関して90日又は、119日(120日)と定めている会社が多いと散見されます。これは、労働者保護法第118条第1項にて明言されている以下の記述、

「使用者は解雇する労働者に次の通り解雇補償金を支払わなければならない。(1)120日以上1年未満継続して就業した労働者には、最終賃金の30日分以上を、また出来高払制の労働者に対しては最終の出来高賃金の30日分以上を支払わなければならない。」

という部分を解釈しての理論であり、勤務期間が120日に満たない労働者を解雇する場合には、会社は当該労働者に対して解雇手当を支払う必要がない、ゆえに正社員に登用する前の仮の採用であるという解釈であろうと推察されます。

※タイの一切の法律の中には「仮採用期間」「試用期間」という語句は存在しませんので、注意を要します。上掲の通り、あくまでも法条文解釈の過程にて便宜上に用いられている語句です。

また、雇用契約の解除に際しては一賃金支払期間前の告知が必要ですので、一賃金支払期間を30日とした場合、[120日-30日]で求まる90日が、仮採用期間であるという理論です。(労働者保護法第119条に抵触する場合は即時解雇できます。)

この場合、90日目に仮採用不合格の通告を行うことになります。

ここで、留意すべき点があります。「欠勤が多い」「遅刻が多い」等のの理由により、会社が当該労働者の仮採用期間を後60日延長したいという状況を想定します。つまり、当該労働者の仮採用期間は従前の90日に60日を加えて合計で150日になります。

これに関し、労使間の合意があれば仮採用期間の延長は違法ではありません。ただし、仮採用期間を150日にしたにもかかわらず、やはり結果的に仮採用期間を通過させることができず(不合格)、当該社員を解雇したい場合、当該労働者は既に120日以上勤務していますので、労働者保護法第118条第1項で定める解雇手当が必要となります。

言い換えれば、労働者地位としてはいかに「期間延長された仮採用期間中の社員」であろうとも、勤務期間が120日以上であることより鑑み、法で定める解雇手当が必要になるという解釈です。

重ねて申し上げますが、法律の中には「仮採用期間」「試用期間」という語句は登場しませんので、それらの語句を用いて法解釈することはできません。

有給休暇は取得出来ますか?

タイでも日本と同様に労働者が有給休暇を取得する権利が認められています。

タイの労働者保護法第30条では、労働者が取得することができる有給に関して次のように規定しています。

第30条

(第1項)満1年継続して勤務した労働者は、使用者が事前に当該休日を指定した条件において、1年あたり6労働日以上の有給休暇を取得する権利を有する。

(第2項)次年度以降は、年間あたり付与する有給休暇を6労働日を超えて付与することを定めてもよい。

(第3項)使用者と労働者は、その年に使用しなかった有給休暇に関し、翌年以降に繰り越して翌年以降の有給休暇に加算することに事前に合意することができる。

(第4項)勤続期間が満1年に満たない労働者の場合、使用者は勤続年数(注 勤続月数)に比例して有給休暇を定めることができる。

有給休暇の繰越に関して労働者保護法では上記のように定めておりますが、一般的な会社においては「当年において使い残した有給残は、翌年1年に対しては繰り越すことができるが、翌々年に対しては繰り越すことをしない。」というように就業規則内にて定めているケースがほとんだと思われます。

タイで経理関連の仕事に就くことが出来ますか?

外国人に関しては、外国人事業規制法により企業内の会計職に就くことができません。(実際には、会計職に携わっている外国人が散見されますが、同人が保有する労働許可証の中に示される職責には「会計」という言葉が出現していないと予見されます。(会計職では、労働許可証を取得できないという理由に因ります。)

この場合、厳密には労働許可証が定義している職務内容と、実際に行なっている職務内容(会計業務)が異なりますので、法的に違法であると解釈されます。

雇用証明書(在職証明書)発行に関し、法律上の規定はありますか?

一般には、雇用証明書の発行は労働者から会社に対してその旨の要求があった時(労働者が権利を行使した時)のみ、会社側は同書類の発行義務を負います。上例のように、労働者からの要求がなき場合、会社側は本来は発行義務を負いません。

また、どのような形であれ一旦退職した労働者が、従前に勤務していた会社に雇用証明書の発行を求める遡求権の時効は、民商法典により2年であると定められています。

つまり、2年以上前に退職した社員から雇用証明書発行の要求があった場合、会社が発行を拒否しても違法とはなりません。

タイ人、日本人と問わず、管理職に就いている労働者に対しては時間外労働手当と休日時間外労働手当を支払っていない。この行為は違法であるか?

管理職である、ないに関係なく、その労働者が「雇用、賞与査定、賃金の引き下げや解雇に関して、使用者の代理人としての決定権限を有する」労働者である場合、その労働者は時間外労働手当と休日時間外労働手当を受領する権利を有しません。つまり、使用者は時間外労働手当と休日時間外労働手当を支払う必要はありません。

逆に言えば、「管理職であっても上記の権限を有しない労働者である」場合は、時間外労働手当と休日時間外労働手当を受け取る権利を有するため、使用者はそれら2つを支払わなければならないという解釈になります。

時間外労働単価(休日)の計算について根拠となる法律はありますか?

■労働基準法61条から63条では平日の時間外や休日に労働者を労働させた場合の、使用者が支払わなければならない賃金について規定しています。

つまり、

(1)労働日の時間外(普通残業)には、時間単価に1.5を乗じた単価に、

(2)休日の就業時間内(休日時間内)には時間単価に2.0を乗じた単価に、

(3)休日の就業時間外(休日時間外)には時間単価に3.0を乗じた単価に、

労働した時間数を乗じて時間外労働手当を求めます。

また、使用者が労働者を解雇した場合は、通常の賃金と時間外労働手当(休日労働手当を含む)を、解雇した日から起算して3日以内に支払わなければなりません(次回の給与支給日に、他の労働者と同一タイミングにて支払うというのは労動基準法に違反します)。

給与を「1か月あたりいくら」というように受領している労働者(以下月給者と呼ぶ)が、会社が定める週休日と休日(祝日)に労働した場合、会社は

(1)定時時間に関しては 時間単価*1.0を単価として時間外手当を支払う
→休日時間内手当(休日定時内)

(2)定時外時間に関しては時間単価*3.0を単価として時間外手当を支払う
→休日時間外手当(休日定時外)

必要があります。

なお、週休日とは就業規則で表現されている「会社が休みである日」を指し、多くは日曜日、または日曜日と土曜日であろうかと思います。

月給者の場合、1月内の暦に関係なく、

(a)1日から31日(または30日)までの31日間(または30日間)の
(b)定時時間(例 08:00-17:00)に関して

の労働契約であり、「日曜日の定時時間も実際には休みであるが給与が支払われている」という解釈です。したがって、週休日の定時時間に労働した場合であっても、通常の給与としてすでに賃金を支払っていますので、割増分(差分)として 時間単価*1.0で計算した単価により、労働時間数を乗じて求めた休日時間内手当(休日定時内)を支払います。

また、休みの日の定時時間外に労働した場合は、上記(a)と(b)以外の部分での労働であるという定義になりますので、会社は時間単価*3.0で計算した単価により、労働時間数を乗じて求めた休日時間外手当(休日定時外)を支払います。

■給与を1日あたりいくらと定め、その金額に実労働日数を乗じて給与を受領している労働者(以下、日給月給者と呼ぶ)が、週休日と休日(祝日)に労働した場合は、会社は

(i)定時時間に関しては 時間単価*2.0を単価として時間外手当を支払う
→休日時間内手当(休日定時内)

(ii)定時外時間に関しては時間単価*3.0を単価として時間外手当を支払う
→休日時間外手当(休日定時外)

必要があります。

日給月給者の場合、月給者とは違って、休みの日に関しては無給扱いになっているためです。

出産の際に休暇を取得出来ますか?

女性労働者の出産休暇に関し、労働者保護法第41条では、最大90日の休暇(休日を含む)を取得する権利を有すと規定しています。
(ただし、有給扱いとなるのは45日間だけで、残りの45日間は社会保険庁から給付金を受給します。)

それでは、出産に先立っての一事例として「つわり」にて会社を休まなければならない場合、それは出産休暇の一部となるのか、または病気休暇として扱うべきでしょうか。

労働者保護法を初めとする一切の法律では、この点に関する記述はありません。ゆえに最終的には会社判断に委ねられる要素となりますが、労働省の見解としては、以下の骨子となります。

■労働省の見解

「つわり」に関しては、狭義に捉えれば労働者の健康悪化による病気ではない。したがって、病気休暇取得のための条件ではない。

しかし、広義で捉えれば、「妊娠したことによる体調不良」という解釈ができ、それゆえに「病気」であると判断される。したがって、出産休暇の一部として扱うか、病気休暇として扱うかは会社判断となるが、労働者保護という観点から述べるとすれば、「出産休暇ではなく病気休暇として扱われるべき」であると言えよう。

また、当事例に関して弊社がタイ地場企業約10社を主として調査した結果、上述の労働省の見解と同様に「病気休暇」として処理している会社がすべてでした旨、付記します。